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日々徒然。過去モノ放出〜。
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前回からの続きを載せてみる。。

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実際、松山の東邦学園からの誘いは去年の夏ごろからあった。来年から大学へ進学するにあたり、サッカーを今後も自分の人生の一部として、さらに磨きをかけるのなら、当然、悪い話ではなかった。
自分はふらのが好きで。ふらのの仲間も大好きで。しかし一方で、東邦のサッカーが魅力なのも事実だった。
だからこそ、こんなぎりぎりになるまで結論を先延ばしにしてきたのだ。
でも、悩んだ理由はそれだけじゃない。

『---お前と組むのも悪くないな。』

去年の冬、突然電話をしてきた日向は、わけのわからない雑談に交えてそう言ったのだった。あまりにさり気なすぎて、冗談だと思った。普段、自分からは絶対に電話をかけそうもない奴からの唐突な電話に、少々驚きながらも松山はこう返した。

『冗談じゃねえよ。俺はごめんだね、絶対。』

しかしその後も、日向からの電話はちょくちょくあった。ただ、『元気か?』とか、
『○○の試合あんだけど、観に行かねえか』とか……。
初めは、(あいつ、なんか変なモンでも食ったんか…)といささか怪しんだ松山だったが、やたらと親し気な日向の態度に、

(東邦行きも、悪くねーかな…)
などと、一度は出した結論に迷いを抱いたりしていた。でも、まさか……。

「---まさか、あれが『来い』って意味だったんじゃねえよなあ…。」

松山は日向と別れ、ひとりぶつぶつと考えながら理事長室へと向かっていた。
電話のとき、東邦からの誘いが来てるなんてことは一言も話していないはずだ。でも、日向のことだから小泉さんにでも聞いてたのかもしれない。
日向が、自分が東邦に来ることを望んでいるのはなんとなく分かっていた。今回、こっちへ来る前に反町と電話をした時にも、ちらっとそんな話が出たのだった。しかし先程のように、あんな風に絡まれる謂れはない。

(なんで、あいつ…。なんで俺と組むのがいいんだ?俺は、お前とはずっとライバルでいたい。いつか必ず、お前に勝ちたい。そう思ってちゃ、駄目なのかよ…。)

日向とライバルであり続ける為…、その為だけにと言っても過言ではない。結局その結論に行き着き、松山は東邦からの誘いをきっぱりと断ることにしたのだ。

「もう…、決めたんだよ。俺は。」
理事長室のドアの前、そう松山は独り呟いた。

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たまにはこんなのも。
◎小説 「雪桜」


「すっげえ…もう桜が咲いてんだ。」
松山はここ東邦学園の高等部男子寮の中庭で、満開の桜のもと、ため息混じりにそう言った。
今は3月下旬。ここ最近の暖かな気候のせいか、例年より早く満開になった桜が中庭に所狭しと並んでいる。
「…その割には、なんか寒くねえか?」
ぶるっと肩をひとつ震わせ、松山は自分の体を両手で抱き締めるようにして後ろを振り返った。
その視線の先には、腕組みをしたままこちらを睨んでいる日向がいた。
「お前が来たからだろ。この間までは暖かかったのによ。ったく、冷気持ち込みやがって。」
「なんだよ、さっきから…。俺が来たのがそんなに嫌かよ。」
花曇りの空に、冷たい風が吹く今日は今にも雨が降り出しそうだった。
「ああ、ムカツクな。お前のその清々しいツラ見てるとな。」
相変わらず日向は松山を睨んだまま、めずらしく絡むような口調で言った。
「それに…。この俺サマが来いって言ってやったのに断るなんて。」
満開の桜とは不似合いな冷たい北風が、向かい合う二人の間を通り抜けた。夕暮れも近付き徐々に下がる気温が、今こうして冷ややかに向かい合うお互いの気持ちを、さらに冷たくしてしまうようだった。

「おい……。俺はお前に、来い、なんて言われた覚えはないぞ。」
「ああ、そうかよ。てめぇがニブくて気付かなかったんだろ。」
「きさま…。」

空気はさらに不穏な気配を漂わせる。きつい松山の眼と、鋭い日向の視線がぶつかり合う。お互い、その瞳の中の真意を探ろうとするが、分からない。
どれくらいの沈黙が流れたか。
しかし、その場の空気には不似合いな、はらはらと可憐に舞い散る桜の花びらを前に二人の闘争心はしだいに薄れるのだった。

「……あほらし。俺、もう行くぜ。きれいな桜、案内してくれてありがとよ。」
すっと日向の脇を通り過ぎようとする松山。日向はその松山の肩をつかみ、意を決したかのように、言った。
「……本当に、東邦には来ないのか。」
その眼は今までにない程、真剣な色を帯びていた。松山はその視線から逃れるように、顔を背けた。
「だからそう言ってんだろ。今日だって、断るために小泉さんとこへ来たんだ。」
日向の手を振り払って、松山は強く言い放った。
「もう、決めたんだよ。」
ひときわ強い北風が吹き、散った桜の花びらが庭の隅でつむじ風にまかれて、くるくると回っていた。


つづく?
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