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日々徒然。過去モノ放出〜。
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前回からの続きを載せてみる。。

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実際、松山の東邦学園からの誘いは去年の夏ごろからあった。来年から大学へ進学するにあたり、サッカーを今後も自分の人生の一部として、さらに磨きをかけるのなら、当然、悪い話ではなかった。
自分はふらのが好きで。ふらのの仲間も大好きで。しかし一方で、東邦のサッカーが魅力なのも事実だった。
だからこそ、こんなぎりぎりになるまで結論を先延ばしにしてきたのだ。
でも、悩んだ理由はそれだけじゃない。

『---お前と組むのも悪くないな。』

去年の冬、突然電話をしてきた日向は、わけのわからない雑談に交えてそう言ったのだった。あまりにさり気なすぎて、冗談だと思った。普段、自分からは絶対に電話をかけそうもない奴からの唐突な電話に、少々驚きながらも松山はこう返した。

『冗談じゃねえよ。俺はごめんだね、絶対。』

しかしその後も、日向からの電話はちょくちょくあった。ただ、『元気か?』とか、
『○○の試合あんだけど、観に行かねえか』とか……。
初めは、(あいつ、なんか変なモンでも食ったんか…)といささか怪しんだ松山だったが、やたらと親し気な日向の態度に、

(東邦行きも、悪くねーかな…)
などと、一度は出した結論に迷いを抱いたりしていた。でも、まさか……。

「---まさか、あれが『来い』って意味だったんじゃねえよなあ…。」

松山は日向と別れ、ひとりぶつぶつと考えながら理事長室へと向かっていた。
電話のとき、東邦からの誘いが来てるなんてことは一言も話していないはずだ。でも、日向のことだから小泉さんにでも聞いてたのかもしれない。
日向が、自分が東邦に来ることを望んでいるのはなんとなく分かっていた。今回、こっちへ来る前に反町と電話をした時にも、ちらっとそんな話が出たのだった。しかし先程のように、あんな風に絡まれる謂れはない。

(なんで、あいつ…。なんで俺と組むのがいいんだ?俺は、お前とはずっとライバルでいたい。いつか必ず、お前に勝ちたい。そう思ってちゃ、駄目なのかよ…。)

日向とライバルであり続ける為…、その為だけにと言っても過言ではない。結局その結論に行き着き、松山は東邦からの誘いをきっぱりと断ることにしたのだ。

「もう…、決めたんだよ。俺は。」
理事長室のドアの前、そう松山は独り呟いた。


「うわ、雪……。」
「桜吹雪が、ほんもんの吹雪になったな。」
「わわわっ!!なんでお前がいるんだ!急に人の背中を取るな!!」

理事長室を後にして、男子寮へ戻ろうと先程の中庭へ出た松山に日向が突然話し掛けた。(松山は今夜、寮のゲストルームに泊まるのだ)
すでに日は暮れ、空からは粉雪が舞い降りていた。吹雪というには程遠いが。

「んな人のことを湧いて出たみたいに…。」
「なんだよお前、ずっとそこにいたのか?雪まで降ってんのに。」

薄暗がりの中、妖艶とも言えるほどに満開の桜と、雪…。その下に、自分を見据える日向の眼があった。
一瞬、松山の胸がどきっと熱くなる。何故…?
その日向の瞳に捕らえられたかのように、動けない。

「なに固まってんの?お前…。」

つと、立ったままの松山の頬へ日向の指先が触れる。その冷たさに、はっと我に帰った松山は視線を逸らさぬまま、自分の頬にある日向の手を握りしめた。

「松山……?」
「日向…。俺は、お前の背中を追いかけるよりも、肩を並べて走るよりも…俺はお前と、ずっと、向かい合っていたいんだ。」

氷のように冷たい日向の手を、松山の手が暖める。風が吹き、空からの雪に桜の花びらが混ざりあって飛ぶ。
そんな幻想的な風景が、二人の心を素直にさせる。

「だから…、東邦が嫌なんじゃなくて、お前と一緒にやりたくないとかじゃなくって…そのっ……。」

一瞬驚いた眼をした日向だったが、その松山の真っすぐな瞳と、やや赤らんだ頬を見て、ふっと表情が緩むのだった。
「分かってるさ。お前の考えてることなんざ…。俺もいつでもお前を見てるから。いつでも、かかって来いよ。……それよりお前、手ェあったけえなー。」

そう言って、松山の手を握り返す。松山はさらに頬を赤くして、
「お前、あほか!雪ん中ずっと外にいるなんて。早く中入ろうぜ!」

そう言って日向の手を引っ張り、ずんずんと建物へ向かって歩く。日向は松山に引っ張られながら、その顔に満足そうな笑みを浮かべていた。
「う〜っ。なんか急に寒くなってきたなあ〜。松山、暖めてくれ〜!」
手を振りほどき、日向は背後から松山に飛びついた。

「うわっ!なにすんだ、重いだろ!ぼけ!!」

肘鉄をくらわしながらも、その表情はまんざらではない。同じチームにいなくたって。
俺達はお互いを見据えて走っていける。
この瞬間、松山も日向もそう実感できたような気がして、雪の中でも力強く咲く桜のように何故かあったかい気持ちになっていた。

この先、5年後も10年後も-----俺達は年に何回か顔を合わせ、時に争い、時に力を合わせて---。
それでいいじゃないか。
それが俺達の、俺達なりのカタチなんだから-----。




_end._

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くさっ。。。初級松小次だわ。

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